株式会社を設立するときの現物出資のやり方


司法書士の手塚宏樹です。株式会社を設立するときには、資本金の額を決めて、その額を銀行口座に入金する手続きが必要になりますが、現金ではなく変わりのモノを出資することができます。
これを現物出資といいます。
たとえば、パソコンとか自動車とか不動産とか、そういったものをお金の変わりにすることができます。
実務的にそれほど珍しいことでもなく、ときどき利用して会社を設立するご依頼を受けることがあります。
この記事では、現物出資についての基本的な説明と、登記のやり方についてご説明しています。
目次
現物出資とは
お金の変わりに、モノでもって出資をすることです。
お金を出資した人と、モノで出資をした人とで、その後の扱いが変わることはありません。
会社が成立した後は、同じように株主となります。
現物出資の対象になるものは
カタチのあるものだけでなく、営業権やソフトウェアなども認められます。
たとえば、下記のようなものがあげられます。
- 自動車
- 不動産
- パソコン
- 有価証券
- 営業権
- ソフトウェア
いくらまで認められるのか
会社法では現物出資の上限は定められてはいません。
評価金額はどうやって決めるのか
会社法では、原則として検査役という人が、「この自動車は100万円である」というのが適正かどうかを確認することになっています。
しかし、実際に検査役をたててそのようなことをするのは時間も手間もかかるので(裁判所の手続きになります)、会社法では例外規定を置いて、現物出資を利用しやすいようにしています。
その例外というのが、
- 現物出資の対象財産の額の合計が500万円を超えないとき
- 現物出資の対象財産が市場価格のある有価証券のとき
- 現物出資の対象財産の額が適正であると、弁護士、公認会計士、税理士、さらに不動産の場合は不動産鑑定士、の証明書があるとき
この規定があるので、実務的には現物出資はそれほど珍しいことではなく、比較的よく利用されているような印象です。
金額が不適正だったとき
もし、「この自動車は100万円である」といって検査役を選任せずに、例外規定を用いて現物出資を行い、じつはその自動車の正当な価額は30万円だった、ということが後に判明すれば、発起人と設立時取締役は連帯して会社にその差額を支払わなければならないとされています。
当たり前の話ですが、適正な価額で現物出資を行わなければなりません。
現物出資と現金の組み合わせも可能
現物出資だけで会社を設立することもできますし、現金と現物を組み合わせて資本金とすることもできます。
登記のやり方
会社を設立するためには、公証役場と法務局の手続きが必要です。
公証役場では定款の内容がチェックされ、法務局では定款を含めたその他の添付書類のチェックがされます。
定款の記載の仕方
定款には下記のように記載します。
(現物出資)
第○○条 当会社の設立に際して現物出資をする者の氏名、出資の目的である財産、その価額及びこれに対して割り当てる株式の数は、次のとおりである。
(1)出資者
発起人 手塚宏樹
(2)出資財産及びその価額
業務用パソコン (型番)
10万円
(3)割り当てる株式の数
10株
現物出資に特有の登記の添付書類
- 設立時役員の調査報告書(現物出資された財産の価額が500万円以下の場合)
- 有価証券の市場価格を証する書面(定款に記載された価額が市場価格以下の場合)
- 弁護士等の証明書及び附属書類(定款に記載された価額が相当である旨のもの)
- 財産引継書
- 資本金の額の計上に関する証明書
1,2,3はいずれかが必要になり、4と5は必須です。
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