一般社団法人の設立登記のやり方を司法書士が解説します
司法書士の手塚宏樹です。株式会社の設立、合同会社の設立と並んで、一般社団法人の設立登記のご依頼も多くあります。
一般社団法人とはどのような組織形態なのか、株式会社との違いは何か、どのような手続きによって設立するのか、をご説明します。
目次
一般社団法人とは何か
一般社団法人とは、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成18年法律第48号)」に基づいて設立された社団法人のことです。社員の集まり、つまり、人の集まり、ということです。これに対して、一般財団法人というのは、財産の集まり、ですね。
そして、一般社団法人は法務局に対して設立の登記をすることによって成立します。
多くの商業登記は事後報告的なものですが、設立登記は、数少ない「登記をすることによって効力が発生する」とものです。設立登記をした日が、法人の成立日となります。
許可などは必要ない
設立登記をするにあたっては、書類を作成して法務局に申請をするだけで足ります。
その前段階で公証役場での定款認証という手続きはありますが、これも形式が整っていれば問題なく通過できます。
どこかで許可をもらわなければならない、などということはありません。
一般社団法人と株式会社との違い
資本金がない
一般社団法人が人の集まりであるのに対して、株式会社は株式がメインともいえます。株式会社には資本金がありますが、一般社団法人には資本金に対応するものはありません。
利益の分配ができない
株式会社は利益が出れば株主に配当することができますが、一般社団法人はできません。利益を出すことそのものは認められています。
1人での設立はできない
株式会社は1人だけでも設立が可能です。その人が全部の資本金を出資して、その人が唯一の役員になることができます。
これに対して、一般社団法人は最低2人以上の社員が必要です。
※この場合の「社員」というのは従業員のことではなく、株式会社でいうところの株主にあたる人のことです。
※社員には、他の株式会社などの法人がなることもできます。
※社員が0人になると、一般社団法人は解散します。
残余財産の帰属先を特定の社員に決めておけない
一般社団法人では、特定の社員に残余財産を帰属させることを、設立時に定めることはできません。定めを置かなくても問題ありませんが、置くとすれば「残余財産は東京都に贈与する」などになるでしょう。
ちなみに、一般社団法人が解散したときの残余財産は、定款に定めがあればそれに従い、定款の定めがなければ社員総会の決議で決定されます。このときに社員を帰属先にすることは可能です。
社員に議決権を与えないとすることが不可
株式会社では、種類株式を発行することにより、ある株主の議決権を全くのゼロとすることもできます。しかし一般社団法人ではそのようなことはできません。
一般社団法人の機関設計
必ず必要なのは、下記です。
- 社員総会
- 理事
社員は最低2名必要ですが、理事は1名いれば足ります。
そのほかに、置くことができる機関としては下記があります。
- 理事会
- 監事
- 会計監査人
設立するのにどんな手続きが必要か
大きくいうと、下記の2つの手続きが必要です。
- 公証役場で定款認証を受ける
- 法務局に設立登記の申請をする
公証役場での定款認証
公証役場は、一般社団法人を設立しようとする所在地の公証役場です。
ただし、たとえば東京都新宿区に主たる事務所を置く場合でも、新宿の公証役場に限られず、東京都内であればどこの公証役場でも大丈夫です。
法務局での設立登記申請
定款認証とは異なり、法務局は、主たる事務所の管轄するまさにその場所の法務局でなければなりません。
東京都新宿区に主たる事務所を置く場合は、東京法務局新宿出張所に申請をします。ほかの法務局に申請しても、管轄が違うとして取下げを求められます。
県によっては、一箇所の法務局で、その県のすべての地域の法人登記を管轄しているところも多いです。申請前に、法務省のサイトで管轄を調べてください。
なお、公証役場の手続きも、法務局の登記手続きも、どちらも司法書士が代行することができます。
どんな書類を用意するのか
法務局での設立登記にあたって用意しなければならない書類は下記のとおりです。
- 定款
- 理事の就任承諾書
- 理事の印鑑証明書
- 社員の印鑑証明書
司法書士に代行を依頼する場合は、すべて司法書士が作成することができます。
定款に記載すべき事項
定款には下記の事項を記載しなければなりません。
(1) 目的
(2) 名称
(3) 主たる事務所の所在地
(4) 設立時社員の氏名又は名称及び住所
(5) 社員の資格の得喪に関する規定
(6) 公告方法
(7) 事業年度
なお,監事,理事会又は会計監査人を置く場合にも,その旨の定款の定めが必要になります。
(1)の目的の書き方は下記のようになります。
(目的)
第○条 当法人は、○○を通じて、○○を提供し、○○事業を行うことにより、○○の向上及び社会の健全な発展に寄与することを目的とし、その目的に資するため、次の事業を行う。
1.○○に関する教育・啓蒙事業、講演会・研修会・セミナーの実施
2.前号に掲げる事業に付帯又は関連する事業
費用
一般社団法人を設立するには、司法書士に依頼せずとも下記の費用が必ずかかります。
- 公証役場での定款認証のときに約9万円の手数料
- 法務局での登記申請のときに6万円の登録免許税
司法書士に依頼すれば、公証役場の手数料は約5万円になります。
手塚司法書士にご依頼いただく際の手続き報酬は、9万円です。
ご自身ですべてを行う場合→15万円
手塚司法書士にご依頼いただく場合→20万円
実質、5万円の差額で、すべてをお任せいただけます。
設立登記が完了するまでのスケジュール
下記の条件がそろっていれば、最短で1日での登記申請も可能です。
- 一般社団法人設立に必要なすべての事項が決まっていて、
- 印鑑証明書もすぐに準備できる、
- 書類への押印もすぐにできる。
※お急ぎの場合は追加の手数料をお願いすることがあります。
上記のような超特急でなければ、通常は登記申請(=法人成立日)まで1~2週間、その後2週間ほどで登記が完了して登記事項証明書を取得できるようになります。
銀行に法人名義の口座を作るように申込みができるのは、登記が終わった後です。
手塚司法書士事務所にご依頼いただいた場合は、登記完了後の、登記事項証明書の取得も代行しています。
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