みなし解散からの復活をしたいが清算人が死亡している場合
税理士さんからの紹介で、みなし解散状態となっている会社について清算結了登記を申請してほしいとのご依頼がありました。しかし、問題は、清算人(法定清算人)となっている方がすでに亡くなっているということでした。
目次
問題の整理
依頼時点での登記簿
「役員に関する事項」監査役 D
「解散」平成27年1月20日会社法第472条第1項の規定により解散
この会社は実際にはずいぶん前に事業をやめているのですが、登記簿としては残っていました。それが、会社法の規定により、法務局の職権で解散の登記がなされております。いわゆる「みなし解散」です。
閉鎖登記簿
現在の登記簿の役員欄には監査役の記載しかありませんでしたので、コンピュータ化前の閉鎖登記簿を取り寄せてみました。
そこには、下記のような登記が入っていました。
取締役 A
取締役 B
取締役 C
代表取締役 A
監査役 D
しかしこれらのうち、取締役であるA、B、Cがいずれも亡くなっています。Dはまだ存命です。
やりたい登記
みなし解散からの清算結了登記をすることがゴールです。
前提として必要な登記
清算結了登記をするためには、清算人が登記申請しなければなりません。ふつうなら、会社の解散登記を申請するのと同時に、清算人の就任登記も申請するのですが、「みなし解散」の場合は、法務局ではたんに解散の登記のみを入れます。ですから清算人の登記はなされていないことになります。今回の会社の現在の登記簿に、監査役しか記載されていないのはそのためです。
①法定清算人の就任登記
この会社には清算人が存在しない状態となっていますので、まず、みなし解散がされた日付において、法定清算人の就任登記をします。解散時点の取締役がそのまま清算人に就任することになります。
②清算人の死亡による退任登記
清算人となったA、B、Cは死亡していますので、その旨の登記をします。戸籍謄本を取り寄せて死亡日を確認しました。
③株主総会で選任した清算人の就任登記
株主総会を開き、清算人としてEを選任し、Eが代表清算人となりました。今回のケースで幸いだったのは、株主が存命であったことです。したがって株主総会をスムーズに開催することができました。
④清算結了の登記
諸手続きが完了したのちに、あらためて株主総会を開き、清算結了の決議を行い、その旨の申請をしました。
登録免許税
合計17,000円です。
内訳は、
清算人就任 9,000円
清算人変更 6,000円
清算結了 2,000円
登記の添付書類
定 款 1通
株主総会議事録 2通
株主リスト 2通
就任承諾書 1通
清算事務及び決算報告書 1通
委 任 状 1通
※添付書面以外の必要書類
印鑑届書(代表清算人Eのもの)
代表清算人の個人の印鑑証明書(3ヶ月以内)
定款は、法定清算人就任のために必要です。このような会社の場合、すでに定款が保管されていないことも考えられます。そのときは新たに作成するほかないでしょう。司法書士に依頼すれば作成も代行してくれます。
代表清算人として就任するEの印鑑届書と印鑑証明書もお忘れなく。法定代表清算人であったAのものは不要です。個人の印鑑証明書を取得することができませんから当然ですね。
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