特例有限会社で取締役が1名になったら「代表」取締役ではなくなります。
司法書士の手塚宏樹です。株式会社と特例有限会社は、ほぼほぼ同じように扱われますが、登記手続きにおいて気をつけなければいけないことがいくつかあります。
役員登記については、間違えやすいので、いつも基本に立ち返って確認するようにしています。
なお、株式会社と特例有限会社の違いについてはこちらの記事をご参照ください
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特例有限会社から株式会社への変更のやり方を司法書士が解説します。
この記事では、特例有限会社において取締役が1名になったときの登記手続きについて解説します。
株式会社とは大きく異るところですので、注意しなければなりません。
そして何より、特例有限会社において取締役が1名になると、今まで「代表取締役」だった方は、たんに「取締役」となります。
名刺やゴム印や、その他にももろもろ変更するところが出てくるかもしれません。
以下、登記手続きについてみていきます。
目次
【大前提】
特例有限会社において「代表取締役」の文字が登記されるのは、下記の条件を満たすときです。
- 取締役が2名以上いて
- 代表権を持たない取締役が存在するとき
取締役が1名だけのときにはその人はたんに「取締役○○」として登記されるだけで「代表取締役○○」とはなりません。
また、取締役Aと取締役Bがいて、どちらも代表権を有するときには、どちらも取締役として登記されるだけで、代表取締役の文字はどこにもあらわれないことになります。
特例有限会社において取締役A、取締役B、代表取締役がAという状態から、取締役Bが辞任したケース
「登記すべき事項」の書き方
「役員に関する事項」
「資格」取締役
「住所」東京都港区~
「氏名」B
「原因年月日」令和1年4月1日辞任
「役員に関する事項」
「資格」代表取締役
「氏名」A
「原因年月日」令和1年4月1日取締役が1名となったため抹消
この登記をすると、取締役Aの住所氏名のみが登記簿に残ることになります。
上記の例では「辞任」としましたが、取締役Bが亡くなったときも書き方は同様です。
「辞任」の部分が「死亡」となります。
必要書類
- 辞任届
- 司法書士への委任状
取締役Bが辞任するので、それを証する辞任届が必要です。
※亡くなった場合ならば戸籍謄本を添付します。
この辞任届は認印でもかまいません。仮に、代表取締役Aが辞任するということになれば、認印では足らず、個人の実印を押印して印鑑証明書を添付するか、あるいは法人印を押印しなければなりません。
※印鑑届書は不要です。
この会社は、代表取締役Aが法人印を使用する者として登録されていましたが、今後は「取締役A」として法人印を使用することになります(印鑑そのものを変更する必要はありません)。
同じAという人でも、役職が変わるので印鑑届書が必要な気もしますが、この場合は不要とされています。
しかし、似たようなケースで、会社が解散して
- 代表取締役Xが代表清算人Xとなる場合
これは印鑑届書の提出が必要とされています。人物は変わっていなくても役職が変わるので必要ということです。
登録免許税
登録免許税は通常の役員変更登記と同じく1万円です。
役員変更登記は、1回の申請で行うならば、どれだけの内容を含んでいたとしても、1回につき1万円です。
いくつもの変更事項がある場合には、まとめられるのであればまとめて申請したほうが費用の節約になります。
特例有限会社において取締役A、取締役B、代表取締役がAという状態から、代表取締役Aが辞任したケース
取締役Bが辞任するのではなく、代表取締役Aのほうが辞任したらどうなるでしょうか。
行うべき登記は、代表取締役たる取締役Aの辞任のみです。
そうすれば、登記簿には取締役Bの住所氏名が残ることになります。
印鑑届書は必要
印鑑を使用する者が、代表取締役A→取締役Bに変わりますので、印鑑届書が必要です。
印鑑届書には、取締役Bの個人の実印を押印し、印鑑証明書を添付しなければなりません。
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