取締役の任期が切れているのに登記をしないと過料が課せられます
司法書士の手塚宏樹です。東京・小平市で司法書士事務所を経営しております。会社の登記をお受けするなかで、わりとよくあるのが、役員の任期切れです。任期が切れてしまっていることに気づいたとき、どうすればよいのでしょうか。
任期は登記簿には載っていない
役員の任期は登記事項ではありません。登記簿に記載されるのは就任年月日や退任年月日のみですので、登記簿を見るだけでは任期は判明しません。法務局でも管理していません。任期を伸ばしたければ会社で株主総会を開いて定款変更を行うのみです。法務局に報告する必要もありません。
役員変更登記は会社が自発的に行わなければいけない
どんな登記でも同じですが、何かしらの事由が発生すれば会社が登記申請を行わなければいけません。もちろん司法書士に代行を依頼する、にしても。
会社名を変更する、本店を移転する、事業目的を変更する、ということであれば分かりやすいのですが、役員の任期については、ともすれば忘れがちです。
設立当時に決定した任期が満了すれば、役員は「任期満了して退任」ということになります。退任すればその旨の登記をしなければなりません。任期満了して退任するのと同時に再度就任する場合は、「重任」という登記をします。
時期的には、任期満了する年の定時株主総会をした後に登記申請をします。決算の時期と同じになるので税理士さんから司法書士に連絡がくることもありますが、それが漏れてしまうこともありえます。登記をしないでいると過料が課せられる可能性がありますので、会社でも管理しておいていただきたいと思います。もちろん当事務所では、いちど関わらせていただいた会社については任期のチェックを行っています。
登記をしないでいると会社が解散させられることがある
役員の任期の最長は10年です。登記簿には任期は記載されていないのですが、登記簿の就任年月日を見れば、「10年経った」ということは分かりますので、少なくとも「10年経ったが役員変更登記をしていない」ということは分かります。どんな会社でも10年の間に役員変更登記をしない、ということはありえないわけですから、10年が経過しているのに何も登記をしていない会社は「動いていないのではないか?」ということで法務局の職権で解散登記がなされてしまうことがあります。正確には、少しの猶予を設けていて、12年なにも登記をしないと解散となります。
解散登記がなされる前には、法務局から問い合わせの通知が来るのですが、それを見落としていると大変なことになります。法務局に会社の印鑑証明書を取りに行ったら、「解散してますね」と言われて驚いた方から慌てて電話がかかってきたこともあります。
職権で解散登記がなされてしまった場合の復帰についてはこちらのページをご参照ください。
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