みなし解散されてしまった会社の復活方法。会社継続の手続きについて。
司法書士の手塚宏樹です。以前、私の事務所にも「会社が知らないうちに解散している!」というお電話が何度かありました。
そうなのです。株式会社や一般社団法人は、一定期間なにも登記をしていないと、解散登記が勝手にされているということがありえるのです。これを「みなし解散」といいます。
※ただし、特例有限会社(商号が「有限会社○○」となっている会社は除きます)。
この記事では、みなし解散の仕組みと、万が一そうなってしまったときの復活方法をご説明します。
目次
法務局は毎年目を光らせています
平成26年より毎年、法務局では動いていない会社を整理する事業を行っています。実体を失った会社がいつまでも登記簿に残っているのは登記の信頼性を失わせるということや、休眠会社が売買の対象となり犯罪行為の温床となる可能性があるから、ということです。
令和元年には、37,211の株式会社と、1,366の一般社団法人・一般財団法人が解散されたものとみなされました。
出典→休眠会社・休眠一般法人の整理作業について(法務省)
通知が来る&公告がされる
一定期間、登記をしていない株式会社や、一般社団法人・一般財団法人に対して、法務局から通知が来ます。
「まだあなたの会社は動いてますか?動いているのなら『事業を廃止していない』旨の届出を郵送してください」という内容です。
また、官報にも公告が掲載されます。
法務局から送られてきた通知に気づかなかった、と言っても通じませんのでご注意ください。
一定期間とはどのくらいか
株式会社は12年、一般社団法人・一般財団法人は5年間です。
これは株式会社の役員の任期は最長10年、一般社団法人の任期は最長4年であることから、事業を継続して行っている会社・法人であれば、それぞれ12年、5年のうちには、少なくとも役員変更登記はされるはずである、ということです。
12年のうちに役員変更登記すら行っていない会社は、事業を行っていないのではないかと考えられるというわけです。
必ずしも、役員変更登記である必要はなく、ほかの登記がされていればみなし解散の対象とはなりません。しかし、役員変更登記は10年経っていれば必ずするものですので、登記懈怠の過料の問題は残ります。
なお、登記簿謄本を取得したということがあっても、上記には何も影響がありません。
「まだ事業を廃止していない」旨の届出
法務局から通知が来てしまった場合は、すみやかに役員変更登記をするか、または「事業を廃止していない」旨の届出を返送する必要があります。
これを送らないとみなし解散の登記がされてしまいます。
みなし解散の登記
法務局からの通知とともに、公告がされるわけですが、その公告がされてから2ヶ月経過したときに、会社は解散したものとみなされます。
ただ、あくまでも解散しただけですので、会社としてはまだ残っています。会社が完全に消滅したわけではありません。会社が完全になくなるのは、解散の後に「清算結了」したときです。
復活方法~会社継続の登記
みなし解散されてしまったときでも、会社を復活させる道はあります。
みなし解散の登記後3年以内に限り,株主総会の特別決議によって会社を継続できます。一般社団法人は社員総会の特別決議、一般財団法人は評議員会の特別決議です。
会社継続登記の必要書類
- 定款
- 株主総会議事録
- 取締役会議事録
- 役員の就任承諾書
- 役員の印鑑証明書
- 印鑑届書
会社継続登記の登録免許税
- 清算人・代表清算人の登記 9,000円
- 会社継続の登記 30,000円
- 役員変更の登記 10,000円
- 取締役会設置会社の登記 30,000円
登録免許税は合計で79,000円かかります。当事務所にご依頼いただく場合は、書類作成および申請代行すべて含んで80,000円となります。
早めに会社継続を
会社がみなし解散されたままだと、登記簿謄本を取得したときに「解散」という文字が入ってしまいます。取引先などが登記簿を見ることもあるかもしれませんし、どこかに提出する機会があれば、間違いなくその旨は見られるでしょう。
また、継続ができるのはみなし解散の後、3年以内に株主総会の特別決議が必要とされていますので、早めにご相談ください。
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