こうすれば総会を書面決議で行えます。
司法書士の手塚宏樹です。コロナウイルスにより、リアルに集会をするのが難しくなっています。毎年行う株主総会についてもその運営が問われるところです。
ZOOMなどのオンラインミーティングで株主総会ができれば便利ですね。
経済産業省が「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」を出したりしています。今後は多くの会社がオンラインでの株主総会を開催するようになっていくのでしょう。
オンラインでなくても、リアルな株主総会を開催しない方法もあります。
これはコロナなど関係なく以前から存在する制度です。
実際にどこかに集まるかわりに、書面上で決議をしてしまおうというものです。
ちなみに、これとは別に、リアルな株主総会が開かれているにも関わらず、委任状を提出することにより、別の人に議決権の代理行使を頼むということもできます。
目次
リアルな株主総会を行わないための要件
会社法第319条 取締役又は株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき株主(当該事項について議決権を行使することができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなす。
- 株主の全員が
- 書面で同意する
全員が良いと言っているのであれば、わざわざ集まる必要もないだろうということですね。
普通決議も特別決議もOK
役員の選任などの普通決議のみならず、定款変更などに要求される特別決議についても書面による決議が認められています。
株主が少数の会社ならば実現できる
株主が社長1名とか、ほかにいても少数で、意思疎通が簡単にできるような関係であれば、十分使い勝手のよい制度といえるでしょう。
書面決議の手順
1.取締役から株主へ提案書を発送する
具体的に提案の内容を示す必要があります。いわゆる白紙委任状的なものではなく。
2.株主が提案書を会社に提出する
期日までに株主が会社に提案書を返送します。この期日については会社法上、とくに定めはありません。
また、書面又は電磁的記録となっていますので、提案書の画像をメール添付で送信することでもよいでしょう。
3.株主総会議事録を作成する
実際に株主総会を開催した場合と同様に、書面によって決をとった場合も株主総会議事録を作成しておく必要があります。
通常の株主総会議事録の冒頭には、
- 開催日時
- 開催場所
- 出席役員
などの記載をしますが、書面決議の場合はそれらがありませんので、代わりに下記のように記載すればよいでしょう。
「会社法 319 条 1 項の規定に基づき、株主総会の目的である事項につき、当社株主全員が同意したので、会社法施行規則 72 条 4 項 1 号に基づき、本議事録を作成する。」
株主が多い会社では現実的には使うことができないでしょうが、少数の株主しかいない会社であれば知っておいて損はない制度です。
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