代表取締役を2名とする場合、法人印の取り扱いはどうなるのでしょうか
司法書士の手塚宏樹です。株式会社の代表取締役は多くは1名でしょうが、なかには2名いる、ということもあります。
代表取締役社長と代表取締役会長という感じですね。
代表取締役の人数には制限がありませんので、何名にすることも可能です。
特例有限会社は、基本的に全員が代表権を有しているということになっています。そこから、この人には代表権を与えない、と設計することができます。
どのようなケースであっても、代表取締役が2名になっているとき、法人印はどのように取り扱われるのでしょうか。
一般にはほとんど意識されていないところですが、登記をするうえでは必ず考えなければいけない点です。
誰がその法人印を使用するのか、ということです。
目次
代表取締役が2名になったときの法人印について
代表取締役Aさんだけだったのが、Bさんも代表取締役となることになりました。
現時点で法人印は1個だけ存在している状態で、その使用者はAさんです。
これは会社の設立登記をするときに登録がされています。
使用者がAさんということはどういうことかというと、会社の印鑑証明書を発行したときに、そこに表示される名前が「代表取締役A」になるということです。代表取締役Bの名前は出てきません。
代表取締役が2名になったときに、会社がとることができる選択肢は下記です。
- 今まで使用していた法人印を引き続き代表取締役Aさんが使用する
- 今まで使用していた法人印を、これからは代表取締役Bさんが使用する
- もう1個法人印を用意して、新しいものをBさんのものとする
- もう1個法人印を用意して、新しいものをAさんの、古いものをBさんのものとする
1はとくに何も手続きをする必要はありません。
2は印鑑届書の提出が必要です。これには、Bさんの個人の印鑑証明書を添付します。今までの印鑑カードはそのまま使用することができます。
3も4も、印鑑届書が必要です。
契約書に押印するのは誰がなるのか、で考えていただければよいと思います。
代表取締役社長であるAさんのみが契約締結をするだろうということであれば、Aさんのみが法人印の登録をすればよいでしょう。
代表取締役を2名とする場合の登記手続きのやり方
必要書類
- 取締役会設置会社であれば取締役会で代表取締役を選定しますので取締役会議事録
- 取締役会が存在しない会社ならば株主総会で代表取締役を選定しますので株主総会議事録
- 就任承諾書
- 印鑑証明書
- 司法書士への委任状
今まで取締役でなかった人をいきなり代表取締役にする場合には、取締役としての選任決議を証する書面も必要になります。
- 取締役会が存在する会社でも存在しない会社でもいずれも株主総会で選任しますので株主総会議事録
※1通の株主総会議事録のなかで、取締役選任決議と代表取締役選定決議のどちらも記載することができます。
就任承諾書の印鑑証明書
役員変更登記において印鑑証明書は、少々面倒なところです。
場合分けして考えます。
- 取締役会設置会社ならば、取締役の就任承諾書について実印プラス印鑑証明書が必要
- 取締役会が存在しない会社ならば、代表取締役の就任承諾書について実印プラス印鑑証明書が必要
代表取締役を選定した議事録についての印鑑証明書
代表取締役は、取締役会または株主総会で選ばれます。
それらの議事録には出席した取締役が押印することになりますが、変更前の代表取締役が法人印を使って押印しているときには、取締役たちの印鑑証明書は不要とされています。
代表取締役が2名になるケースでは、まさにこの規定を使うことができます。もともと代表取締役である人が法人印で押印すればOKですので、取締役全員の印鑑証明書は必要ありません。
登録免許税
通常の役員変更登記と同じく、申請1件につき1万円です。
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